運動しない人もプロテインを飲むべき?|答えは運動の有無ではなく、食事で足りているかで決まる
「運動していないのに、プロテインを飲んでもいいの?」
プロテインは筋トレをする人のもの、というイメージがまだ強いので、こう迷う人は多いと思います。
答えは、飲んでいい。たんぱく質は誰にでも必要。カロリーだけ気をつける。どれも間違いではありません。ただ、調べていくと、高齢者を対象にした研究ですが、食事で足りている人が足しても、筋肉は増えなかったという報告がありました。
だからこの記事の答えは「飲んでいい」で終わりません。飲むべきかどうかは、運動の有無ではなく、食事でたんぱく質が足りているかで決まります。その確かめ方と、足りていなかった場合に1日何杯をいつ飲むかまで書きます。

運動しない人がプロテインを飲んでもいい?
飲んで問題ありません。プロテインはたんぱく質を粉にした食品で、筋トレをする人専用の薬ではありません。運動の有無にかかわらず、たんぱく質は毎日必要な栄養素です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳のたんぱく質の推奨量は1日あたり男性65g、女性50gです。65歳以上の男性は60g、女性は50gです(厚生労働省)。この数字に運動の条件は付いていません。運動しない人にも同じように必要な量です。
ただし、飲んでいいことと、飲む意味があることは別の話です。
運動しないでプロテインを飲むと太る?
プロテインそのものに太りやすい性質があるわけではありません。体重はプロテインかどうかではなく、1日の摂取カロリーと消費カロリーの差で決まります。
プロテインも食品なので、飲んだ分のカロリーはあります。いつもの食事にそのまま足せば、その分だけ摂取カロリーは増えます。間食の菓子パンや甘い飲み物と置き換えるなら、増えるとは限りません。運動しない人ほど消費カロリーは少ないので、「足すのか、置き換えるのか」は先に決めておいたほうがいいと思います。
女性の「太る・ムキムキになる」という不安については、女性のためのプロテイン活用ガイド|選び方・飲む量・続け方をまとめましたで詳しく書いています。
運動しない人がプロテインを飲むと、筋肉は増える?

食事でたんぱく質が足りている高齢者を対象にした研究では、運動せずにプロテインを足しても、筋肉はほとんど増えなかったと報告されています。飲むだけで筋肉がつかないのは、多くの記事が書くとおりです。
虚弱ではない、地域で暮らす高齢者を対象にした研究のまとめでは、プロテインを足しても、筋肉量・筋力・体の動きのどれにも、ほぼ差が出ませんでした(Ten Haaf DSM, et al. Am J Clin Nutr 2018)。複数のまとめを横断した2025年の総説も、健康な高齢者については同じ結論です(Obasi AA, et al. Age Ageing 2025)。
「増やす」ではなく「減らさない」ためならどうか。運動しない人は、筋肉が増える側ではなく、少しずつ減る側にいるからです。これも、プロテインだけでは止まりませんでした。60代後半の人に1日750歩未満の生活をしてもらった試験では、体重1kgあたり1.6gのたんぱく質を摂っていても、脚の筋肉は減りました(Oikawa SY, et al. Am J Clin Nutr 2018)。この試験は食事の量も減らした条件なので、そのまま一般の人に当てはめることはできません。それでも、たんぱく質を多めに摂れば動かなくても筋肉が守られる、とは言えないことが分かります。
一方で、動かないことの影響は、小さいながら数字に出ます。72歳前後の健康な人が2週間、1日の歩数を約1,400歩まで減らしただけで、脚の筋肉量は約3.9%減りました(Breen L, et al. J Clin Endocrinol Metab 2013)。
ようは、プロテインは、足りない分を埋めるものであって、足りている人に上乗せするものではない。 そして筋肉が減るのを遅らせたいなら、効くのはプロテインより、まず運動することのほうです。筋肉は使わないと減るという話は、健康寿命と筋肉|「年1%減る」は、何もしなかった場合の話だったで書いています。
自分は足りている?食事のたんぱく質を数えてみる

いつもの1日の食事を書き出して、主なおかずのたんぱく質を足してみるのが一番早い方法です。推奨量(男性65g・女性50g)に届いていれば、プロテインを足す必要はあまりありません。
よく食べるものの目安はこのくらいです(新潟県「食品に含まれるたんぱく質量」、日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとにした値)。
| 食品 | たんぱく質 |
|---|---|
| ごはん普通盛り(150g) | 3.8g |
| 食パン6枚切1枚 | 5.3g |
| うどん1袋(ゆで200g) | 5.2g |
| 卵1個 | 6.1g |
| 納豆1パック(40g) | 6.6g |
| 牛乳1本(200ml) | 6.8g |
| 木綿豆腐1/2丁(150g) | 10.5g |
| ささみ2枚(80g) | 19.1g |
数えてみると分かるのは、ごはんやパン、麺だけではほとんど積み上がらないことです。量を決めているのは、卵・納豆・豆腐・肉・魚といったおかずのほうです。
たとえば、こういう軽めの1日を数えてみます。
- 朝: 食パン1枚と牛乳1本 → 12.1g
- 昼: うどん1袋 → 5.2g
- 夜: ごはん1杯、木綿豆腐1/2丁、卵1個 → 20.4g
合計は37.7gです。女性の推奨量50gに約12g、男性の65gに約27g足りません。こういう日が続いている人は、足りていない側にいます。
反対に、平均では推奨量を上回っています。令和5年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の1日の平均摂取量は男性77.7g、女性65.7gでした(厚生労働省)。朝昼晩におかずを1品ずつ食べている人なら、プロテインがなくても届いている可能性は高いと思います。
なお、高齢の人では、適正体重1kgあたり1.0g以上を目安にする考え方もあります(厚生労働省e-ヘルスネット)。適正体重が60kgなら60g以上です。
足りていないなら、1日何杯をいつ飲めばいい?
足りない量と、自分の1杯で摂れるたんぱく質の量を比べて決めます。粉の量がそのままたんぱく質の量ではないので、栄養成分表示で確かめます。飲むのは、たんぱく質がいちばん少ない食事のときです。
先ほどの例なら、足りないのは12〜27gです。ここで気をつけたいのは、粉の量とたんぱく質の量は同じではないことです。プロテインの粉には、たんぱく質のほかに糖質や脂質、香料なども入っています。袋の栄養成分表示には「100gあたり」や「1食◯gあたり」のたんぱく質量が書いてあるので、そこから計算すれば、自分がすくった1杯で何gのたんぱく質が摂れているかが分かります。
本来は、そこまで計算して足りない分に合わせるのが正確です。ただ、そこまで生真面目にやらなくてもいいと私は思っています。きっちり計算したい人は計算すればいいし、ざっくりでいい人は袋に書いてある1食分を1杯として始めれば十分です。食事の総量の考え方はプロテインを飲むベストタイミングはいつ?最新研究でわかった4つのパターンと結論にまとめています。
先ほどの例でいくと、いちばん少ないのは昼のうどん(5.2g)、次が朝のトースト(12.1g)です。こういう人は、朝食か昼食で足りない分の補完として1杯飲むのが自然です。
運動しない人には、もう1つ決めておくことがあります。今の食事に「足す」のか、何かと「置き換える」のかです。たんぱく質が足りないのに食事量は十分という人は、間食の甘いものと置き換えたほうが、カロリーが増えずに済みます。
運動しない人に向くプロテインの種類は?
運動しない人向けの決まった種類はありません。続けやすい味かどうかと、お腹に合うかどうかで選べば十分です。
よく「運動しない人にはソイかカゼイン」と書かれるのは、吸収がゆっくりで腹持ちがいいとされるからです。間食の置き換えに使うなら、その性質は役に立ちます。ただ、牛乳でお腹がゆるくなる人もいれば、大豆の風味が苦手な人もいます。種類ごとの違いはプロテインの種類と選び方|ホエイ・カゼイン・ソイの違いを目的別に整理で整理しています。
プロテインを飲まなくていいのは、どんな人?
食事でたんぱく質が足りている人です。また、腎臓の病気がある人や、健康診断で腎機能について指摘を受けたことがある人は、自分で量を増やす前に医師に相談してください。
ここまで書いてきたとおり、足りている人が足しても、筋肉が増える根拠はありません。毎食おかずがあって、数えてみたら推奨量に届いていた。それなら、プロテインにお金を使うより、そのお金と時間で少し運動するほうが、筋肉のためにはなると思います。
逆に、朝はパンとコーヒーだけ、昼は麺だけ、という日が多い人は、運動していなくても飲む意味があります。運動するかどうかは、関係ありませんでした。
まとめ
- 運動しない人がプロテインを飲んでも問題ありません。たんぱく質の推奨量(18〜64歳で男性65g・女性50g)に運動の条件は付いていません
- 太るかどうかはプロテインかどうかではなく、1日のカロリーの収支で決まります。足すのか置き換えるのかを先に決めます
- 高齢者を対象にした研究では、食事で足りている人が足しても、筋肉はほとんど増えなかったと報告されています。食事量も減らした条件の試験ですが、動かない生活では、たんぱく質を多めに摂っていても脚の筋肉は減りました
- 足りているかは、1日の食事のおかずを数えれば分かります。ごはんやパンだけではほとんど積み上がりません
- 足りていないなら、杯数は足りない量と栄養成分表示のたんぱく質量を比べて決めます。たんぱく質がいちばん少ない食事に1杯足します
- 腎臓の病気や指摘がある人は、量を増やす前に医師に相談してください
運動しない人もプロテインを飲むべきか。調べる前は「飲んでいい」が答えだと思っていました。今の答えは、「数えてみて、足りていなければ」です。まずは昨日の食事を書き出して、おかずの数字を足してみてください。
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