Miaomadaという会社②|いま誰がどの領域を持っているか
前回は、会社として一番したいことと、そのために何を選んで何を捨てようとしているかを書きました。今回はその続きで、実際の配置の話です。
考え方だけ書いても、会社の形は見えません。誰がどの領域を持っていて、どこが重なっているか。そこまで書いて、はじめて中身が伝わると思っています。

Miaomadaは、何をしている会社なのか?
自分たちが世に出したいものを考えて開発し、製造は外に委託して、販売は自分たちでやる会社です。東京都板橋区にあって、いま作っているのは家庭用のプロテインディスペンサーです。
工場は持っていません。何を作るかを考えるところと、それを形にするところと、世に出して売るところを自分たちで持っていて、実際にモノを削ったり成形したりするところは外にお願いしています。委託先は基本的に親会社の昭和電器株式会社です。昭和電器については1932年創業の板橋の工場が、Miaomadaのプロテインディスペンサーを支える理由に書きました。
なので、領域の線は製品が形になっていく順に引かれています。
仕事は、どこで区切られているのか?
構想、開発、設計、量産の委託。そこに販売とマーケティングが並走します。順に並べると、こうなります。
| 段階 | やっていること |
|---|---|
| 構想・戦略 | 何を作るかを決める。代表が持っています |
| 開発・制御 | ドラフトの図面を引き、3Dプリンターなどでプロトタイプを作って、検証までやります |
| 設計 | 検証が通ってから、本格的な設計に入ります。各製造プロセスに合う、量産に耐える図面へ変えていく段階です |
| 量産 | 外に委託します。金型も自社では作りません。届いた量産品の検品もここに入ります |
| 販売・マーケティング | 上と並行して動きます。ブログ、SNS、ECサイトのページ作り。デザインもここに含まれます |
図面が2回出てくるのが分かりにくいところかもしれません。開発の段階で引くのは、あくまで形を確かめるための図面です。プロトタイプを作って、狙いどおり動くかを見るところまでが開発。それが通ってから、同じ製品を量産できる図面に描き直すのが設計です。量産品が届いたら、寸法が出ているか、組み付けて実際に動くかを確かめる工程も入ります。
経理と業務はこの並びには入りません。仕入・売上・請求・物流・見積・契約。段階のどこかに属するものではなく、会社全体を下で支えているバックオフィスです。

持ち場は、どうやって決めているのか?
強みと、これまでの経験と、本人がやりたいと言ったかどうかです。
一人ひとりが強みを活かせる仕事を続けられるように配置する、というのが基本の考え方で、これは前回書きました。それに加えて、これまで何をやってきたかも見ます。経験のあるところに置けば、立ち上がりは速くなります。
ただ、それだけだと人はできることの内側に固定されます。なので、未経験でも本人から「これをやりたい」と言われたら、やってもらうようにしています。やりたいという言葉は、内側から外に出ようとしている合図なので、そこは拾います。この決め方をしていると、持ち場は自然に広がっていきます。
領域は、どこまで重なっているのか?
ほぼ全員が2つ以上の領域を持っています。一人が一つの領域だけを持つ、という形にはなっていません。
設計と開発をやっている人は出荷の業務も持っていますし、そのうちの一人は営業活動もしています。デザインを持っている人は、ECのページを作る流れでそのまま販売側に入っています。海外を担当している人も、デザインをやりながらマーケティングをやっています。経理と業務の担当も、これからマーケティングの側に入ってもらう予定です。
私自身も、構想と戦略が自分の持ち場ですが、マーケティングにはがっつり入っていますし、経理も見ています。設計や開発にもチェックは入れています。
つまり、マーケティングに関してはほぼ全員参加です。専任の担当者がいて、その人だけがやっている、という形になっていません。
はじめは少人数ゆえの必然でしたが、いまは意図してそうしています。理由は単純で、きれいに線を引くと、隙間ができるからです。
営業はここまで、設計と開発はここまで、バックオフィスはここまで、デザインはここまで、海外はここまで。そうやって一人ひとりの持ち場の範囲を決めて固定すると、範囲と範囲のあいだに隙間が生まれます。どの範囲にも入らない仕事が、そこに落ちます。少人数の会社でそれが起きると、落ちたまま前に進みません。
なので、境界線はぼやかしたままにしています。むしろ重ね合わせる。重複する部分があるのが、正しい会社の姿だと思っています。

そのうえで、負荷が偏ったところは持ち主を決め直します。営業側が抱えていた受注の裏方の仕事を、まるごと経理・業務の側へ移したことがあります。営業の人が受注処理まで持っていると、外に出ている時間が削られるからです。重ね合わせているのは目を配る範囲のほうで、決め直すのは最後に処理を持つ人です。そこは分けて考えています。
これだけ重なって、潰れないのか?
そのままだと潰れます。なので、苦手な仕事と、手を動かすだけの仕事を、なるべく人から外そうとしています。
領域がこれだけ重なると、どうしても苦手な部分が回ってきます。手を動かして終わらせるしかない作業も増えます。ここをそのまま人に積むと、いくら強みに沿った配置をしても意味がなくなります。
そもそも私は、手を動かして時間を費やした結果として成果物が出る、というやり方を正しいとは思っていません。かけた時間と、出てきたものの価値は別のことです。
それに、成果物は最良でなくていいと思っています。だいたい80点で十分です。100点を目指して時間を溶かすより、80点を出して次に進むほうが、会社としては前に出ます。
その80点を出すために、苦手な仕事、面倒な仕事、時間のかかる仕事は、なるべくAIに寄せるようにしています。人がやるのは決めることです。どの方向でいくか、これでいいか、ここをこう直す。判断は人が持って、そこに至るまでの手を動かす部分は任せる。任せられるものがあるなら、とことん任せる方向でやっています。
いま並行してやっているのは、バックオフィスに手がかからないようにすることです。仕入・売上・請求まわりの処理を減らせれば、経理と業務の担当の時間を、そのぶんマーケティングの側に回せます。
順番を間違えないように書いておくと、AIを入れたから領域を重ねられた、という話ではありません。重なるほうが先です。少人数なのでそうならざるを得なくて、その状態をうまく回すには、こうするしかありませんでした。
目指しているのは、負荷を散らすことそのものではありません。空いた分を、その人が集中できる仕事、楽しいと思える仕事に向けてもらうことです。まだ途中ですが、少しずつその形にしています。
真ん中に誰が立つかで、何が変わるのか?

私がリードするのをやめたら、展示会の中身が変わりました。
Miaomadaは、日本最大級のスポーツ・健康産業の専門展であるSPORTECに、2年続けて出展しています。直近は2026年7月8日から10日まで、東京ビッグサイトの東1ホールに小間を出しました。
1回目は私が全部リードしました。出展はできました。ただ正直なところ、パッとしませんでした。
2回目は変えました。リーダーを決めて任せる形に切り替えて、さらに二人が入った三人のチームでやってもらいました。結果は、私がリードした時よりも全然よくなりました。
理由ははっきりしています。前回書いたとおり、私は人と話すのが得意ではありません。お願いをすることはできるのですが、人から意見を吸い出すのが苦手です。自分が真ん中に立つと、そこで止まります。
リーダーを代えたら、そこが動きました。二人の意見をどんどん吸い上げて、それぞれのいいところを引き出しながら進めてくれたからです。
出てきたものも具体的でした。ブースのデザインは何案も作ったうえで、どれがいちばんいいかを決めています。集客のアイデアもたくさん出ました。実際に置いたのは、レバーを引くとカラーボールが飛び出すガチャガチャです。レバーを引くと粉が出てくるという製品の仕組みを、遊びながら体感してもらう趣向でした。来場者に配るパンフレットは、前のものを使い回さずに新しく作り直していて、そのための撮影までやっています。上から指示が降りて動いたのではなく、それぞれが自分の持ち場で実直に手を動かした結果です。関わっている人数は1回目と変わっていません。真ん中に誰が立つかだけで、出てくるものが変わりました。
副作用もありました。展示会の準備に手を取られたぶん、SNSやブログに載せる画像の制作が滞りはじめたのです。そこは海外を担当している人が引き取って、画像の制作を肩代わりしてくれました。
これも領域が重なっているからできたことです。線をきっちり分けていたら、滞ったまま展示会が終わっていたと思います。
「人がやるのは決めること」と書きましたが、実際にやるとこうなります。私がやったのは、来年も出展すると決めたことだけで、あとは持ち場の人たちが回しました。
自分の弱みは、どこまで直すのか?
直すのは途中までです。人並みの手前くらいまで上げたら、そこから先は追いかけません。
ただ、ここまで来るのに時間がかかりました。自分の強みと弱みは、意識して動いているうちに、だんだん分かってきたものです。分かってきたので、弱いところは人に任せる、ということができるようになってきました。
人と話すのが得意でないので、以前は人にお願いすること自体ができていませんでした。結果として、自分のところに仕事を溜め込んでいました。任せたほうがいいと頭で分かっていても、頼む一言が出てこない。
弱い部分をまったく直さないわけではありません。少しずつ改善する努力はします。ただ、そこそこ使えるところまで上がれば十分だと思っています。得意な人と同じ高さまで持っていこうとは考えていません。そこにかける時間があるなら、強みのほうに使ったほうがいい。
実際、以前よりは上がってきた感覚があります。だからお願いできるようになりましたし、自分で溜め込まなくなりました。展示会を任せられたのも、そのあとの話です。
自分のことが分かってきたので、次は一人ひとりの強みと弱みを、なんとか把握したいと思っています。
そのほうがみんなが働きやすいですし、前回書いたとおり、好きなことや得意なことをやっているときがいちばん成果が出ると思っているからです。個人にとっても会社にとっても、それが一番いい形だと信じています。
といっても、こればかりは本人に聞いていくしかありません。
まとめ
- Miaomadaは、自分たちで考えて開発し、製造は外に委託して、販売は自分たちでやる会社です。委託先は基本的に親会社の昭和電器です
- 領域の線は、製品が形になっていく順に引いています。構想、開発、設計、量産の委託。そこに販売とマーケティングが並走します
- 開発と設計は別の段階です。開発はプロトタイプで検証するところまで、設計はそれを量産に耐える図面へ変えるところです
- 経理と業務は段階の中に入りません。会社全体を下で支えるバックオフィスです
- 持ち場は強み・これまでの経験・本人がやりたいと言ったかどうかで決めています。未経験でも、やりたいと言われたらやってもらいます
- 持ち場の範囲をきっちり決めて固定すると、範囲と範囲のあいだに隙間ができて、そこに仕事が落ちます。はじめは少人数ゆえの必然でしたが、いまは意図して境界線をぼやかし、重ね合わせています。とくにマーケティングはほぼ全員参加です
- 少人数なので領域が重なるのが先で、それをうまく回すためにAIが要る、という順番です。苦手な仕事と手を動かすだけの仕事はなるべく外して、人がやるのは決めることに寄せています。成果物はだいたい80点で十分です
- 展示会の出展は、1回目は私がリードしてパッとせず、2回目はリーダーを代えて明らかによくなりました。関わった人数は同じで、真ん中に誰が立つかだけが違いました
- 弱みは途中までしか直しません。そこそこ使えるところまで上げたら、残りは人に任せます。任せられるようになるまでに、私自身がいちばん時間がかかりました
次は、この配置で実際にどう仕事を回しているかを書く予定です。
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ALENNEプロテインディスペンサーについて
私たちMiaomadaは、プロテインの保管と計量を一体にしたプロテインディスペンサーを作っています。この記事を読んで会社に興味を持っていただけたなら、製品のほうも見てもらえると嬉しいです。

