プロテインがまずいと感じたら試したい方法|本当に効くのは「冷やす」
プロテインがまずい。
飲むたびに変な後味が残って、袋の半分が棚に残っている。
そういう人は少なくないと思います。
私自身、昔飲んでいたプロテインはかなりまずかった記憶があります。実際、2000年代前半までは大豆原料のプレーンが主流で甘みも少なく、溶けにくくダマになりやすく、メーカー自身が「おいしくないがカラダづくりのため」に飲まれていたと振り返っています。それに比べると、最近は飲みやすい製品がずいぶん増えました。原料がホエイ中心になり、フレーバーが増え、溶けやすさも各社が改良しています。久しぶりに飲んで「こんなに飲みやすくなったのか」と驚く人の声もたくさんあると思います。
それでも「まずい」と感じる人が今もいます。製品が良くなっても消えない原因が残っているからです。ただ、調べてみると、どの記事も「人工甘味料のクセ」「体質の問題」と書くところで止まっていて、なぜ甘味料がクセになるのか、なぜ体質で差が出るのか、その先を書いている記事はほとんどありませんでした。
そこを調べると、「まずい」には説明できる原理が2つあり、それが分かると対策は1つに絞れます。この記事では、原因を2つに整理したうえで、本当に効く対策を1つだけ書きます。

プロテインがまずいのはなぜ?
原因は2つです。人工甘味料そのものが苦い後味を持っていること、そしてその苦味の感じ方に遺伝的な個人差があること。この2つが重なった人が「まずい」と感じます。
「甘ったるいのに、最後に苦い」。プロテインがまずいと言う人の感想は、だいたいここに集まります。この「甘いのに苦い」は矛盾ではなく、甘味料の性質そのものです。そして、同じプロテインを「普通に飲める」人が隣にいるのも気のせいではなく、苦味を受け取る舌の側に個人差があるからです。順番に見ていきます。
原理1: 人工甘味料の後味はなぜ苦いのか?

プロテインで多く使われる甘味料のアセスルファムKは、舌の「甘い」を感じる部分と「苦い」を感じる部分を同時に刺激します。甘さと苦さが同じ甘味料から出ている、というのが後味の正体です。
プロテイン粉末の甘味は、多くの製品でスクラロースとアセスルファムKという2種類の人工甘味料が担っています。ごく少量で強い甘さが出せて、カロリーも抑えられるからです。
ただ、このうちアセスルファムKには、単体で苦い後味があります。2004年の研究で、アセスルファムKは舌の苦味センサーも直接押していることが確かめられました。舌の側から見れば、甘い信号と苦い信号が同時に届いている状態です。
だからメーカーは甘味料を1種類で使わず、複数を組み合わせて苦味を打ち消す設計をします。それでも打ち消しきれない分が、後味として残ります。「甘味料のクセ」と呼ばれていたものは、好みや気分の話ではなく、舌のセンサーの話です。
原理2: 同じプロテインでも「まずい」人と平気な人がいるのはなぜ?

苦味を感じる舌のセンサーには遺伝的な個人差があり、同じものを口にしても苦味の強さが人によって大きく違います。まずいと感じるのは、舌が悪いのでも製品が悪いのでもなく、体質の差です。
苦味の感じ方に個人差があることはよく知られていて、ある種の苦味物質では、遺伝子の型によって感度が数十倍違うという報告があります。「苦味に強い人・弱い人」は生まれつき分かれています。
私が調べていていちばん驚いたのはここからです。原理1で出てきたアセスルファムKの苦味を受け取るセンサーそのものにも遺伝子の違いがあり、それがアセスルファムKの好き嫌いと関係する、という2016年の研究があります。つまり、甘味料の後味を強く拾う人と、ほとんど拾わない人が、生まれつき分かれている可能性があります。
プロテインがまずいと言うと、「慣れの問題」「好き嫌い」と片づけられがちです。でも、後味を強く感じる人は、感じない人より苦味の検出が鋭いだけです。舌の性能が劣っているわけではなく、むしろ逆かもしれません。自分を責める必要も、製品を疑う必要もありません。
プロテインの種類でも味は変わる?
変わります。甘味料とは別に、原料そのものの風味があり、加水分解タイプは苦味が出やすく、植物性は豆臭さが出やすい傾向があります。
| 種類 | 風味の傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| WPC(濃縮ホエイ) | コクがあるが乳臭さも残る | 乳糖や脂質が一部残っている |
| WPI(分離ホエイ) | さっぱりしているが風味は薄い | 乳糖・脂質を除いている |
| WPH(加水分解ホエイ) | 苦味が出やすい | 細かく切ったペプチドに苦味を持つものがある |
| ソイ・エンドウ | 豆臭さ、えぐみ | 酵素が脂肪酸を酸化して生じる香りと、サポニンの苦味 |
WPHの苦味は、タンパク質を酵素で細かく切る際に、苦味を持つ短いペプチドが生まれることで出ると言われています。植物性の豆臭さは、リポキシゲナーゼという酵素が不飽和脂肪酸を酸化分解して、ヘキサナールなどの青臭い香り成分を作ることが主な原因とされています。
「後味が苦い」と「粉っぽくて乳臭い」は別の原因なので、対策も別です。乳臭さが苦手ならWPI、豆臭さが苦手ならホエイ系、と種類を変えるのが早いです。
なお、ダマや溶け残りは「味」ではなく「食感」の問題ですが、口当たりが悪いと風味の感じ方まで悪くなります。基本の作り方はプロテインのダマ、原因は2つある|溶けないと固まるは別問題にまとめています。
まずいプロテインを飲みやすくする、本当に効く方法は?

冷やすことです。苦味を含む味の信号は体温に近い温度で強く伝わり、冷やすと弱まると考えられています。牛乳やジュースで割るのは、苦味を別の風味で覆っているだけで、苦味の原因は残ったままです。
「まずい プロテインの対策」を検索すると、牛乳で割る、ジュースで割る、コーヒーに混ぜる、と方法が10個くらい並びます。どれも嘘ではありません。ただ、これらは全部マスキングです。苦味の上に別の風味をかぶせているだけで、苦味の原因そのものを弱めているわけではありません。だから飲み終わったあとに後味だけが戻ってきます。
原因の側に効くのは、温度です。
舌の味細胞には、甘味・苦味・うま味の信号を伝えるTRPM5というチャネルがあり、熱で活性が上がる性質を持っています。2005年にNatureで発表された研究では、15℃から35℃の範囲で温度が上がるほど信号が強くなることが示されました。体温に近い温度で最も強く伝わり、冷やすと弱まる。甘味も同じ回路なので冷やせば甘さも少し落ちますが、後味として残る苦味の方が、落ちたことを実感しやすいと思います。
やることは単純です。
- 常温の水ではなく、冷蔵庫で冷やした水で作る
- 氷を2〜3個入れて振る
- 作ってから数分、冷蔵庫に入れてから飲む
どれか1つで構いません。飲む温度が下がるほど、後味は弱くなります。冷たい水は溶けにくく感じることがあるので、先に水を入れてから粉を入れ、いつもより長めに振ってください。
牛乳割りやジュース割りを否定するつもりはありません。好みの味になるなら、それで十分です。
ただ、「まずい」の原因が苦味の後味なら、まず冷やしてみる。
足りなければ、冷やしたうえで割る。順番はこれだと思います。
まとめ
プロテインがまずい原因は2つです。
- 人工甘味料、特にアセスルファムKは、甘味受容体と苦味受容体を同時に刺激します。「甘いのに苦い」後味は、甘味料の性質そのものです
- 苦味の感じ方には遺伝的な個人差があり、後味を強く拾う人とほとんど拾わない人が生まれつき分かれています。舌が悪いのでも製品が悪いのでもありません
- 本当に効くのは冷やすことです。味の信号は体温に近いほど強く、冷やすと弱まります。牛乳やジュースで割るのは覆っているだけです
味が原因で続かなくなるのはもったいないので、次に飲むときは、水を冷やすところから試してみてください。
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