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女性の筋トレ入門|種目は「得意・好き・なりたい形」で選べばいい

私は自分でも筋トレをしています。男性向けの入門記事なら、自分の経験だけで書けると思います。ただ、女性向けとなると話が違う気がしました。目的も、筋肉のつき方も、気になるところも同じとは限りません。そこで今回は、自分の経験で書ける部分と、調べ直さないと書けない部分を分けて書きました。

「女性 筋トレ 初心者」と検索すると、おすすめの種目が15個、20個と並んだ記事がたくさん出てきます。どれも間違いではありません。ただ、20個並んでいると、どれから手をつければいいのかが分からなくなります。この記事では、並べる代わりに「選び方」を書きます。


女性の筋トレ初心者は、何から始めればいい?

種目は「筋肉がつきやすい部位」「やりやすい種目」「鏡を見てどうなりたいか」の3つで選ぶのがいいと考えています。そのうえで、脚は年齢とともに減りやすいというデータを頭に置いておきます。

筋肉のつきやすい部位は人によって違います。私の場合は脚の筋肉がつきやすいほうだと感じていて、そのぶん上半身に集中してトレーニングしています。脚がつきやすい人もいれば、胸や背中がつきやすい人もいます。まず全身を一通りやってみると、自分がどちらなのかが見えてきます。

ただ、自分の感覚だけで決めないほうがいい理由もあります。日本人4,003人の筋肉量を調べた研究で、20歳の時点と80歳の時点を比べると、女性の筋肉は部位によって減り方がまったく違いました(谷本芳美ほか「日本人筋肉量の加齢による特徴」日本老年医学会雑誌2010)。

部位 女性の減少率(20歳→80歳)
下肢(脚)28.5%
全身11.0%
上肢(腕)3.0%
体幹部ほぼ変化なし

腕はほぼそのままなのに、脚は3割近く減っています。上半身をやりたい人でも、脚をゼロにはしないほうがいい。この数字はそういう意味で覚えておく価値があると思います。背景は健康寿命と筋肉|「年1%減る」は、何もしなかった場合の話だったで詳しく書いています。

最初の種目は、どう選べばいい?

下半身と上半身から1〜2種目ずつ、合わせて3〜4種目を選べば十分です。やってみて辛くて嫌な種目は、最初は外して構いません。

候補はこのあたりです。

  • 下半身:スクワット(脚の前側とお尻)、ヒップリフト(お尻と脚の裏側)
  • 上半身:膝つき腕立て伏せ(胸と腕)、ダンベルロウ(背中)

一度ひと通りやってみると、好きな種目と嫌いな種目がはっきり分かれると思います。嫌いな種目を我慢して続けるより、最初は逃げてもいい。米国スポーツ医学会(ACSM)が2026年に改訂した筋力トレーニングの指針も、最大の効果は「やらない」から「何らかの形でやる」へ移ることで得られる、と書いています(ACSM 2026)。最初の1ヶ月は、続くことがいちばん大事です。

続けていると、見た目が少しずつ変わってきます。そこで鏡を見て、どこをもう少し締めたいか、どこを伸ばしたいかを考える。つきやすい部位、やりやすい種目、なりたい形。この3つを合わせて、種目を入れ替えていけばいいと思います。

筋トレではなく、ダンスやボクシング、HIITのレッスンでもいい?

入り口としては十分ありだと思います。ただし脚の筋力を伸ばすなら、筋トレのほうが有利な可能性が示されています(研究はまだ少数です)。

ジムやスタジオには、ダンス系のレッスン、ボクシングの動きを取り入れたレッスン、短い全力と休憩を繰り返すHIIT(高強度インターバルトレーニング)など、筋トレ以外の選択肢がたくさんあります。音楽に合わせて体を動かすほうが楽しい、という人には、こちらのほうが続きやすいかもしれません。楽しく続けられる形で始めれば十分です。

一方で、HIITと筋トレを比べた研究のまとめでは、HIITでも筋肉量がわずかに増える可能性はあるものの、脚の筋力は筋トレのほうが伸びやすい可能性が示されています。ただし直接比べた研究はまだ3本・62人と少なく、著者自身が確かな結論は出せないとしています(Wiens, et al. Sports 2025)。先ほどの表のとおり、年齢とともに減りやすいのは脚です。好きなレッスンを軸にしつつ、スクワットやヒップリフトのような脚の種目を週に何回か足しておく。これがいちばん無理のない組み合わせだと思います。

マシンとフリーウェイト、どちらがいい?

私はフリーウェイト(ダンベルや自重)をすすめます。ただし、筋肉の太くなり方に差があるという研究結果は出ていません。

ジム向けの入門記事では、まずマシンから始めることをすすめるものが多いです。動きが決まっていて、フォームが崩れにくいのは確かにマシンの良さです。

それでも私がフリーウェイトをすすめるのは、狙った筋肉だけでなく、体を支える周りの筋肉も一緒に使うからです。ダンベルを持ってスクワットをすると、脚だけでなく、ふらつかないように体幹も働きます。マシンは座席と軌道が体を支えてくれるぶん、狙った筋肉だけに効きやすい。これは良さでもあり、私が物足りなく感じるところでもあります。

公平のために書いておくと、フリーウェイトとマシンを比べた13研究・1,016人のまとめでは、筋肉の太さの伸びに差は見られていません。筋力は、フリーウェイトで測るとフリーウェイト組が伸び、上半身ではマシン組が伸びた、という結果でした(Haugen ME, et al. BMC Sports Sci Med Rehabil 2023)。どちらでも筋肉は育ちます。自宅で始めるならダンベル1組と自重で十分、というのが私の考えです。

女性の筋トレは、何回やればいい?

10回でも15回でも構いません。「あと2〜3回はできそう」というところまでの、ある程度きつい重さでやれば十分です。太くすることが目的でないなら、回数に神経質になる必要はないと考えています。

男性の私は、10回をぎりぎりやり切れるくらいの重さで、筋肉を太くする狙いでトレーニングしています。ただ、女性で筋肉を太くしたいという人は、それほど多くないと思っています。腕を太くしたい、肩をごつくしたいという人もいるとは思いますが、多くの人が求めているのは太さより、見た目を整えることのほうではないでしょうか。

最初は「それなら回数を多めにすれば太くならないのでは」と考えました。ところが調べると、そうではありませんでした。21の研究をまとめた分析では、1回が精一杯の重さ(1RM)の60%以下の軽い重さでも、それより重い重さでも、限界までやった場合の筋肉の太くなり方に差はありませんでした(Schoenfeld BJ, et al. J Strength Cond Res 2017)。ACSMの2026年の指針(137のシステマティックレビューをまとめたもの)も、限界近くまでやるなら1RMのおよそ30〜100%という幅広い重さで筋肥大は起きるとしています(ACSM Position Stand. Med Sci Sports Exerc 2026)。太くしたくないから回数を増やす、は研究の上では成り立たないということです。

だから、回数は好きに選んで構いません。見るべきは、ある程度きつい重さでやれているかと、続いているかです。ACSMの指針も、限界まで追い込むかどうかは、平均的な健康な大人の結果を一貫して左右しなかったとしています。

限界まで追い込まなくていい理由は、私の経験からももう1つあります。ぎりぎりの限界まで行くと、フォームが崩れます。膝が内側に入る、腰が反る、反動を使う。崩れた状態で回数を重ねるのはケガのもとですし、狙った筋肉ではないところに負担が逃げて、思ったのと違うつき方をすることもあると感じています。フォームが崩れ始めたら、その回で終わりにする。限界まで追い込まなくても結果が変わらないなら、崩れる前にやめたほうがいいと思います。

週に何回やればいい?

週2日が最初の目安です。厚生労働省のガイドも、成人の筋力トレーニングは週2〜3日を推奨しています。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に「筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨する」としています(厚生労働省)。回数ではなく日数で書かれている点がポイントで、毎日やる必要はありません。ACSMも、意味のある変化には少なくとも週2回が目安としています。

ただ、これはあくまで多くの人に当てはまる目安です。自分にそのまま当てはまるとは限りません。いちばん避けたいのはケガをすることなので、疲れが抜けるのが遅いと感じる人は週1日でもいいし、回復が早いと感じる人はもっと頻度を上げてもいいと私は思っています。

週1日に落とすと効果がなくなるのでは、と心配になるかもしれません。一定期間トレーニングした人が頻度を落とした場合を調べたレビューでは、扱う重さ(強度)を保っていれば、若い人では週1回・1種目1セットでも、最大32週間にわたって筋力と筋肉の大きさを保てたと報告されています。ただし高齢の人では、筋肉の大きさを保つのに週2回程度が必要な場合があるとされています(Spiering BA, et al. J Strength Cond Res 2021)。忙しい時期に週1日になっても、それまでの分がすぐに消えるわけではありません。目安から始めて、自分の体の感覚で調整していく。この記事に書いた回数や頻度も、同じように使ってください。

そのとき気をつけたいのは、筋肉痛より、筋肉と骨をつなぐ腱や、関節を支える靭帯のほうです。いわゆる「すじ」と呼ばれる部分です。私の実感では、筋肉の回復は意外と早い一方で、腱や靭帯の疲れは気づきにくく、ケガにつながりやすいと感じています。研究でも、筋肉は比較的早く強くなるのに対して、腱の適応はもっとゆっくりで、筋力の伸びに腱が追いつかない時期があると指摘されています(Bohm S, et al. Dtsch Z Sportmed 2019)。筋肉痛が消えたから大丈夫、ではなく、関節まわりに違和感が残っていないかも見ておくと安心です。

火曜と金曜のように曜日を決めてしまうと、毎回「今日やるかどうか」を考えずに済みます。お風呂の前など、毎日必ずやる行動の直後に置くのも続けやすい方法です。続かない理由を手間の側から考える話は、プロテインが続かない原因と解決法。挫折しないための5つの工夫でも書いています。

食事、特にタンパク質の摂り方は女性のためのプロテイン活用ガイド|選び方・飲む量・続け方をまとめましたにまとめています。

まとめ

  • 種目は「筋肉がつきやすい部位」「やりやすい種目」「鏡を見てどうなりたいか」の3つで選びます。ただし日本人女性の筋肉は、20歳から80歳で腕は3.0%しか減らないのに脚は28.5%減ると報告されているので、脚をゼロにはしないほうがいいと思います
  • 最初は下半身と上半身から1〜2種目ずつ。辛くて嫌な種目からは、最初は逃げて構いません
  • ダンスやボクシング、HIITのレッスンから入るのもありです。ただ脚の筋力は筋トレのほうが伸びやすい可能性があるので、脚の種目を少し足しておくのがおすすめです
  • 私はフリーウェイトをすすめます。ただし、マシンとの間に筋肉の太くなり方の差は研究では出ていません
  • 回数は10回でも15回でも構いません。「あと2〜3回はできそう」という重さで、フォームが崩れる前にやめます
  • 頻度は週2日が目安。ただし目安は目安で、回復の早さに合わせて週1日にも週3日以上にも調整して構いません。一度鍛えた人なら、重さを保てば週1回でもそれまでの分を保てたという報告もあります

女性向けの記事を書くつもりで調べ始めて、いちばん考えを改めたのは回数のところでした。太くしたくないから回数を増やす、は研究の上では成り立ちません。でも、太くすることが目的でないなら、そもそも回数で悩む必要はありませんでした。大事なのは、回数より続けることです。まずは週2日、好きな種目から始めてみてください。

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