Makuakeで2度のクラウドファンディング成功の裏側【前編】— DP-M1、知名度ゼロからの船出
Miaomadaは、プロテインディスペンサーという製品でMakuakeに2回挑戦しています。1回目はDP-M1で133人・189万5,000円。2回目はDP-M2で179人・294万7,500円。累計312人、484万円を超える応援購入をいただきました。
数字だけ見ると順調に見えるかもしれません。でも裏側では、プロジェクト開始後に仕様変更を余儀なくされたり、税込・税抜きの計算を間違えていたり、かなりバタバタでした。
前編では、DP-M1のMakuake挑戦の裏側を振り返ります。
3Dプリンターから量産品へ — 材料選びの壁

DP-M1は3Dプリンターで試作を重ねて開発しました。量産品にするにあたって、プラスチック成形品をメインで作ることに。
ただ、プロテインに直接触れる製品です。食品衛生法に適合した材料を使わなければいけない。
筐体はABS、ホッパーはPS(ポリスチレン)、計量部はPE(ポリエチレン)、駆動部分はPOM(ポリアセタール)。PSとPEは食品衛生法に適合しているグレードが比較的多いので、そこはそれほど問題になりませんでした。
問題はABSとPOMです。食品衛生法に適合したグレードが、国内メーカーではどちらも1グレードずつしか見つかりませんでした。ABS自体が食品容器として使われることがほとんどないので、そのグレードの開発優先度が高くないのだと思います。結果として、通常のプラスチック成形品に比べて材料費がかなり割高になりました。
金型15型、1,945万円 — 社長に直談判した日
3Dモデルをベースに、社内の設計担当が流動解析を行い、最適なゲート位置や突き出し位置、抜き方向を検討。それをもとに金型メーカーと親会社の昭和電器に分けて発注しました。
金型は全部で15型。トータル1,945万円。
この頃のMiaomadaは、会社を設立しただけで実態はほぼない状態でした。自分はまだ昭和電器の社員で、事業企画室に所属していた。社長のところに行って「型代これだけかかります」と話をして、なんとかお金を出してもらった。
正直、売れるかどうかなんてわかりません。でも、もともと自分が楽観論者というのもあって、「売れるんじゃないかな」とは思っていました。海外に先行企業はあったけれど、実用レベルの製品はまだこの世にない。なんとか早く世に送り出したいという思いが強くて、後先考えずに突っ走ったというのが正直なところです。
土台問題 — プラスチックでは無理だった

原価を下げるために、土台部分もプラスチックで作りたかった。でも実際に組み立ててみると、レバーを動かすたびに全体がグニャグニャと動いてしまう。
ホッパーに1kgのプロテインが入った状態だと、計量升を回すのにかなりのトルクが必要です。本体全体にある程度の重さがないと、操作するたびにずれてしまう。ゴム足の形状をいくら工夫してもダメでした。
曲げモーメントに耐えられる構造にするには、どうしても土台は金属にする必要があった。
10mmの鉄板をレーザー加工しようとしたけれど断念。最終的に鋳物で作り、昭和電器の岩瀬工場で金属加工して、粉体塗装する流れにしました。
結果、土台部分だけで製造原価の半分近くを占めることになりました。
税抜きで計算してた — BtoBしか知らない会社の失敗
昭和電器は受託加工業、いわゆる下請けです。BtoBの世界では、すべて税抜きで計算します。プラスチック成形品の原価はいくら、土台の原価はいくら、組み立て費がいくら、ネジや小物部品を合わせて合計いくら——全部税抜き。
販売価格は15,000円を切らなきゃダメだとずっと思っていて、税抜き14,800円で計画を立てていました。
Makuakeのリワード構成を考えるときに、初めて気づいたんです。「これ、税抜きで計算してちゃダメじゃん」と。
BtoCでは税込表示が基本。税込14,800円にせざるを得なくなりました。
さらに問題がありました。販売計画ではBtoBへの展開も考えていたのですが、「上代」という言葉すら知らなかった。原価と標準小売価格の間に、小売店のマージンを確保しなければBtoBは成り立たない。この価格構造ではBtoB展開は不可能だと気づいたのが、このタイミングでした。
インフルエンサーに100人DM — 自分でやった理由

プロテインディスペンサーは誰も知らない商品です。いきなり売り始めても売れない。
最初に買ってくれるのはイノベーターやアーリーアダプター層だろうと考えていました。だからクラウドファンディングで最初の販売をするのがいいと思っていた。同時に、認知拡大のためにインフルエンサーマーケティングもやろうと。
インフルエンサーマーケティングを専門にやっている会社は何社もあったけれど、良いのか悪いのかよくわからなかった。それなら自分でやってみようと、Xで筋トレ系のインフルエンサーに100人くらいDMを送りました。
そのうち20人くらいが「ぜひ使ってみたいです」と返事をくれて、製品を送りました。Makuake開始日に合わせてXで投稿してもらう形です。
なぜXだったかというと、X以外のSNSがよくわからなかったからです。
プロジェクト開始 — 最初の3日間は嬉しかった
Makuakeのプロジェクトページ自体は、専門の制作会社に作ってもらいました。ライターさんもカメラマンさんも連携してくれていたので、ページ制作はそこまで苦労しませんでした。プロテインディスペンサーを作る思いは強くあったし、それを話したらちゃんと汲んでくれた。
2022年11月、プロジェクト開始。
最初の3日間は、次から次へと購入が入って、本当に嬉しかった。初めてのMiaomada商品が売れていく。この感覚は忘れられません。
でも、その喜びは束の間でした。
100種類のプロテインを買って計量テスト — 落ちない粉が続出

プロジェクトが走り始めた段階で、プロテインの計量目安をつけようということになりました。
1回のレバー操作で何グラム出るかを調べるために、プロテインを100種類くらい買って、毎日毎日計量テストを始めたんです。
もともと計量部は29ccと35ccの2種類を用意する予定でした。ところが——落ちてこないプロテインがたくさんあった。
試作の時に使っていたプロテインとは粉質がまったく違うものが次々出てきました。粉が計量部の中で詰まって、落下しない。プロジェクトはもう走っているのに、製品の根幹部分に問題が見つかった。
ここからが大変でした。計量目安を作るのをやめて、「どの形状なら粉が落ちるか」をプロジェクト進行中に一から検討し直しました。
何度も形状を変えて試して、ようやく安定して粉が落ちる形状にたどり着きました。ただ、その形状では29ccと35ccの2種類は作れなかった。31cc 1本に変更。
プロジェクト中に「ごめんなさい」の仕様変更記事を出しました。
計量部の金型をすぐに製作し直して、なんとか約束通りの期日でサポーターに届けることができた。ギリギリでした。
売れて嬉しかった。でもそれは束の間だった

前半は売れて嬉しかった。中盤は計量テストで「このプロテインもダメ、あのプロテインもダメ」と落ち込んで。後半は金型を作り直して間に合うかどうか、ヒヤヒヤしながら過ごした。
最終結果は133人のサポーターから189万5,000円。
そして100種類のプロテインと向き合う中で、身に染みて感じたことがありました。この計量方式だけじゃダメだ。どんなプロテインにも対応できる仕組みを作らなきゃいけない。
この思いが、次のDP-M2の開発——そして19回の試作で辿り着いた計量機構——につながっていきます。
後編では、DP-M2のMakuake挑戦と、米国市場を見据えた材料選定・FDA対応の裏側をお伝えします。
プロテインディスペンサーの開発経緯について詳しくは、開発ストーリー前編・後編をご覧ください。
ALENNEプロテインディスペンサーは、Makuakeで累計312人のサポーターに選ばれた日本製のプロテインディスペンサーです。特許取得済みの計量機構を搭載し、レバーを引くだけで計量が完了。1kgまでのパウダーを保管でき、飛散を抑えるノズル構造で粉こぼれも軽減します。
